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投稿日:2026/07/01

海水「一杯」から始まるサンゴ保全のイノベーション

  • 沖縄本島

海水「一杯」から始まるサンゴ保全のイノベーション

OISTが切り拓く、新しいサンゴ礁調査のかたち

沖縄の海を彩るサンゴ礁。
透き通る海の景色をつくり出すだけでなく、海のゆりかごとして多くの海洋生物を支えています。しかし現在、海水温の上昇により広範囲でサンゴの白化が発生し、死滅やサンゴ礁の崩壊が進んでおり、サンゴ礁の保全は大きな課題となっています。
そんな中、沖縄科学技術大学院大学(OIST)を中心とした研究チームが、海水を採取するだけでサンゴの種類を調べられる新技術を開発し、注目を集めています。

海水「一杯」をすくうだけで、沖縄のサンゴの多様性がわかる?

今回の研究で活用されたのは、「環境DNA (eDNA)によるメタバーコーディング技術」と呼ばれる技術です。

生き物は日々、粘液や排出物、体の破片などを通して微量なDNAを環境中へ放出しています。海水の中にも、そこに生息する生き物たちのDNAが含まれており、海水からこの eDNA を採取・解析することで、どんな生物が暮らしているのかを把握できるのです。

これまでサンゴ礁の調査は、専門知識を持つダイバーが実際に海へ潜り、一つひとつ目視で確認する方法が主流でした。しかし、サンゴは見た目だけでは種類の判別が難しく、広範囲を継続的に調査するには大きな時間と労力が必要でした。そこで研究チームは、海水中のDNAを解析し、サンゴの種類を高精度で検出できる「eDNAメタバーコーディングシステム」の研究を進めてきました。

ダイバー不要の新技術。サンゴ調査はここまで進化した

研究チームは、日本近海に生息する造礁サンゴのDNAデータベースを大幅に拡充。これまで不足していたDNA情報を補うため、新たに22属のイシサンゴを収集・解析しました。 その結果、日本国内で確認されている造礁サンゴ85属のうち、83属を検出できる包括的なシステムを確立。国内のほぼすべての造礁サンゴを把握できるレベルに到達しました。

さらに、この技術を用いて沖縄本島周辺や慶良間諸島、宮古島、久米島などの海域を調査したところ、少なくとも70属ものサンゴを確認。これまでの調査では把握されていなかったサンゴの存在も見つかり、沖縄の海には想像以上に豊かな生物多様性が広がっている可能性が示されました。 海へ潜らなくても、海水を採取するだけで広範囲のサンゴ分布を把握できるこの技術は、今後のサンゴ礁モニタリングを大きく変える可能性を秘めています。

沖縄の海に眠る「知られざるサンゴ」をDNAで発見

サンゴ礁は、海洋全体のわずか0.2%ほどの面積しか占めていないにもかかわらず、全海洋生物の30%以上を支えているといわれています。また、魚たちの生育環境となるだけでなく、防波堤のように海岸を守り、漁業や観光など地域経済にも大きく関わる重要な存在です。

こうしたサンゴ礁を守るためには、まずそこにどのようなサンゴ種が生息しているのか、時間とともにどう変化しているかを把握することが重要です。頻繁かつ詳細なモニタリングは保全に不可欠であり、この新システムはそれを可能にする強力なツールです。研究チームは今後、この技術を沖縄だけでなく、台湾、パラオ、ハワイなど海外のサンゴ礁地域へも展開していく予定です。 そうした変化を見逃さないためにも、「海水一杯」から海の未来を読み解くこの新技術は、世界のサンゴ礁保全において大きな役割を担うことが期待されています。

沖縄の海が持つ豊かな自然を、次の世代へつないでいくために。最先端の研究が、静かに、そして力強く動き始めています。

資料提供 沖縄科学技術大学院大学(OIST)

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