先祖に感謝し、家族が集う日。沖縄の春はシーミーから始まる。
- 沖縄本島
なぜお墓で宴会を? 沖縄がもっと好きになる、愛あふれるお祭り『シーミー』の世界。
二十四節気の「清明」の季節。沖縄の空が最も澄み渡り、生命が瑞々しく輝きだすこの時期、島内各地で「清明祭(シーミー)」が始まります。
沖縄の春を象徴する行事「シーミー(清明祭)」は、先祖のお墓に家族や親族が集まり、感謝を伝える大切な時間です。線香をあげて祈りを捧げたあとは、重箱料理や天ぷら、果物などを広げ、まるでピクニックのように食事を楽しむのが沖縄流。沖縄の大きなお墓(亀甲墓など)は、単なる遺骨の安置場所ではなく、ご先祖様が住む「家」と考えられています。シーミーは、家族がご先祖様の家を訪ね、近況を報告し、共に食事を楽しむ「年に一度の里帰り」のようなもの。「ご先祖様が寂しくないように、子孫が仲良く賑やかに過ごすことが最大の供養になる」という、沖縄の明るく温かな死生観が根底に流れています。普段なかなか会えない親戚同士が再会し、子どもたちが走り回る、あたたかく賑やかな雰囲気が特徴です。
重箱料理「ウサンミ(御三味)」の役割
シーミーに欠かせないのが、重箱に詰められた豪華な料理「ウサンミ」です。
三牲(さんせい)
「天・地・海」の恵みを表し、豚肉(地)、揚げ豆腐(天)、魚の天ぷら(海)などが彩りよく詰められます。
分かち合い
供えられた料理は、拝みのあとにその場で親族全員でいただきます。これを「ウサンデー(お下がり)」と呼び、ご先祖様と同じものを食べることで、命の繋がりを再確認します。
あの世の紙幣「ウチカビ」
拝みの最後には、黄色い紙に銭の型が押された「ウチカビ(打ち紙)」を金属製のボウルの中で燃やします。これは「あの世で使うお金」とされ、ご先祖様が向こうで不自由なく暮らせるようにという、子孫からの切実で優しい願いが込められています。
観光ではあまり知られていませんが、沖縄の“家族文化”を知るうえで欠かせない行事です。


